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【感想】公開予定映画「窮鼠はチーズの夢を見る」人間はクズでピュアだ

窮鼠はチーズの夢を見る

映画化の一報を見た時、びっくりしすぎて固まりました。

どうも、コンザツ(@kon_zatsu)です。

2020年に公開される映画「窮鼠はチーズの夢を見る」

私はこの作品を、2006年に単行本(旧)が出た時から読んでいました。

まさか続編「俎上の鯉は二度跳ねる」が発売されるとはまったく思っていなくて、窮鼠新刊、俎上、両方購入。

どっぷりとその世界観に浸りながらも、私は一度、この二冊を手放しています。

今回、映画化の報道にあわせて買い直しました。

  • なぜ「好きな作品」なのに一度手放したのか
  • ストーリーから見る「人間」という生き物についての考察
  • 映画化への期待と不安

これらをネタバレを交えながらご紹介します。

原作「窮鼠はチーズの夢を見る」あらすじ

水城せとなさん原作のコミックス。

サラリーマンの大伴恭一(おおとも・きょういち)は、数年ぶりに大学時代の後輩、今ヶ瀬渉(いまがせ・わたる)と再会する。

大伴の妻が、今ヶ瀬に浮気調査を依頼したのがきっかけ。

浮気の事実を隠すため、今ヶ瀬から持ち掛けられた「関係」を受け入れてしまう。

と、公式のあらすじ紹介はこのような感じで書かれていますが、これだけじゃないんです。

これを受け入れてなんとなく読んだら大やけどします。

2006年発売の単行本「窮鼠はチーズの夢を見る」(きゅうそはちーずのゆめをみる)で一度完結となりましたが、2009年に続編「俎上の鯉は二度跳ねる」(そじょうのこいはにどはねる)が発売されました。

窮鼠新装版も同時発売。

窮鼠はチーズの夢を見る[ 水城せとな ]

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俎上の鯉は二度跳ねる[ 水城せとな ]

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恋愛に溺れ流される人間はドクズでありピュアである

「おっさんずラブ」や「きのう何食べた?」でなんとなくBLに興味を持った方は要注意

2018年に放送されたドラマ「おっさんずラブ」、2019年放送の「きのう何食べた?」という、男性同士の恋愛を元にしたドラマが流行。

人を好きになる、恋をするという純粋でありながらも難解なものに、性別は関係ない、そういうことが広く受け入れられつつあるきっかけになったのがこれらのドラマでしょう。

その感覚で

「「窮鼠はチーズの夢を見る」もかわいいお話なのかな?」

「BL(ボーイズラブ)ってなんか面白いかも。見よう!」

と思って見ると、大やけど、大惨事になる危険性があります。

あらすじの項目の通り、大伴が今ヶ瀬と再会するきっかけは、大伴の不倫です。

冒頭の登場人物が見事にクズだらけ

大伴の不倫、だけではありません。

「窮鼠はチーズの夢を見る」冒頭に出てくる人物は基本的にクズです。

クズに男も女も関係なく、おしなべてクズです。

大伴は不倫をしているし、とにかく押しに弱い優柔不断男。

「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」で妻(後に離婚)を含め4人の女性と関係を持っています。

そこに今ヶ瀬を加えるとなんと5人。

この時点で、一般的な恋愛漫画やBL漫画と異なります。

今ヶ瀬は大学時代から大伴に叶わぬ恋心を抱きつづけて生きてきましたが、パートナー不在というわけではなく、物語スタート時には男性と同棲していました。

それでも大伴への思慕、劣情が募りに募って、パートナーをあっさりふります。

大伴の別れた妻・知佳子は大伴のお金を使いこむ買い物依存症で、大伴もことを「キモチワルイ」と言い放ち、新しい恋人を作ります(要はこちらも不倫)

更に、高校の同窓会で再会した美咲も、夫と子どもがありながら、大伴と関係を持ち、口から出るのは家族への不平不満。

不倫する男女なんて世の中にはたくさんいるし、パートナーがいる状態で昔好きだった人と再会して難しい関係になる人もいます。

同居している姑(義母)との関係に悩み、家に居場所のない女性の話だってTwitterを見ればゴロゴロ転がっています。

要は、登場人物もドクズだけど、その周囲にいる人間もドクズだったりするのです。

それでいて今ヶ瀬はピュアだから厄介だ

今ヶ瀬はゲイ(同性愛者)なので、異性愛者である大伴に対する恋心は胸の奥底に仕舞い込んだまま、男性パートナーと同棲していました。

ゲイが異性愛者に恋をするというのは実に苦しくて厄介なものだと私の知り合いのゲイは言っていて、彼は「ノンケ(異性愛者)は端から恋愛対象外。面倒なことは避ける」と言っていました。

大伴と不意に再会することがなければ、今ヶ瀬は自分から大伴を探し当てて思いを成就させようなんて気を起こさなかったはずです。

でも、再会してしまったのだから、仕方がない。

ストッパーが完全に外れ、今ヶ瀬はパートナーと離れ、大伴を追い詰めます。

大伴のタチの悪いのは優柔不断で、恋愛対象外の男でありながらも今ヶ瀬のことをついつい流されて受け入れてしまうこと。

優柔不断も裏を返せば、相手を思いやる優しい人。

だから今ヶ瀬はピュアに、純粋に大伴のことが好きで好きでたまらなく、いろいろなことが起こりながらも離れることができないのです。

一見すると今ヶ瀬が大伴を翻弄しているようにも思える表現、セリフが散見されますが、

大伴のことが好きすぎてどうしようもなく、行動や言動が支離滅裂になってしまう

からだと思います。

大伴は確かに不倫をしていて、今ヶ瀬はそれを掴んでいました。

それなのに、知佳子には大伴は不倫、浮気をしていなかった、と告げています。

大伴への感情が、仕事に対する真摯な思いを超えていました、最初から。

傷つけたくないし、傷つきたくない。

でも傷つけたくないし、傷ついてしまう。

「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」で、今ヶ瀬はそんな自分、大伴と対峙します。

どっちが受けとか攻めとかそういう話ではない

ボーイズラブには受け、攻め、という概念があります。

基本的にそれらは固定されていて、ふたりが両方の役割?立ち位置?ポジション?になるいわゆるリバーシブル(リバ)の作品はほとんどありません。

大伴と今ヶ瀬は「リバ」です。

どっちが受けとか、どっちが攻めとか、そういう概念を超越しています。

しばらく今ヶ瀬がいわゆる攻めの状態にありました。

今ヶ瀬は「先輩(大伴)の中に心身ともに入りたい」という状態にあって、そのような行動に出ていました。

しかし、そのうち「自分の中に先輩が入ってきてほしい」と思いが変化し、いわゆる受けの状態になります。

ピュアな今ヶ瀬がドクズな言動、行動を取りながら大伴の中に侵入していくのが、長い時間を経て、やがて大伴もそういう言動、行動に出るように。

でもふたりとも難儀なので、あっさりうまくいくはずもなく、結局作中で二度離れています。

「優柔不断」に今ヶ瀬を振り回した結果、今ヶ瀬に振り回されまくった大伴は終盤、強い気持ちを持ち、優柔不断さを取っ払って厳しい言葉をかけながら、向き合います。

そして大伴は「(破局につながるようなとある言葉を言われる)三度目はない」と、最後に言いました。

「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」はハッピーエンドです。

でも、彼らが最終回後、どのような立ち位置にあるのかは想像することしかできません。

「三度目」が来て破綻、破局しているかもしれません。

だから私は「受けとか攻めとかそんな概念はこの作品に存在しない」と考えてしまうのです。

(事実、チャンネルの切り替えを彼らは行っています)

基本的にBL漫画、BL小説も相手一筋であることがほとんどで、他に相手が出てくるようなことはまずありません。
また、女性もあまり出てこないし、ましてや作中で女性と関係を持つなんてもっての外。
「窮鼠はチーズの夢を見る」の連載雑誌、レーベルはボーイズラブのレーベルではなく、いわゆるレディースコミック(少女漫画)です。
ストーリーもレーベルも異色で、ボーイズラブ慣れしている人でも受け入れられない人は結構多いです
「窮鼠はチーズの夢を見る」はボーイズラブという枠には入れることのできない「恋愛もの」です



私が一度「窮鼠はチーズの夢を見る」を手放した理由

背の高い本棚を、引っ越しの際に処分するにあたり大量に本を手放しました。

その時に「窮鼠はチーズの夢を見る」と「俎上の鯉は二度跳ねる」を手放しています。

理由は、

「とても素晴らしい作品だけど、心をえぐってくるし良いとは言えない人がたくさん出くるため、読み返すことがない」

からです。

ドクズでピュアな人間たちのリアルな恋愛模様に「凄い」と思うと同時に、読むと疲労感を覚えてしまうため、読み返さなくなってしまったんですよね。

今回映画化にあたり、電子書籍で再購入しました。

「窮鼠はチーズの夢を見る」映画化の期待と不安

映画化に対する不安

先に「窮鼠はチーズの夢を見る」映画化に対する不安を。

私は以下のことについて不安を覚えています。

  • 年齢制限が今のところないのでそれらのシーンの大幅カットによる心情表現の削除
  • 2006年の作品のため「男のくせに」「女だったら」といったジェンダーバイアスのかかった表現がたくさんあり、それらの削除
  • J事務所との忖度による大幅な変更

要は

「お願いだから、原作になるべく忠実にやってほしい!」

ということです。

成田凌という俳優への期待

「窮鼠はチーズの夢を見る」映画化だけだったら、

「おおっ!あの難しい作品を映画化するんだ。どこまでできるんだろう」

というところで止まっていました。

そこで止まらなかった理由は今ヶ瀬渉役が成田凌さんだからです。

映画化の一報を見て、そこに「今ヶ瀬渉役・成田凌」という文字を見つけたら、頭の中で成田さんが今ヶ瀬として動き回りました。

私が成田さんを知ったのは「逃げるは恥だが役に立つ」の梅原ナツキ。

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梅原はドラマオリジナルキャラクターなので、とても不安でした。

でもその不安はすぐに消えてなくなりました。

梅原というキャラクター自体がとてもよくできていたからだと思うのですが、私は最終回に成田さんの力がとても大きかったということを思い知ります。

成田さんはここでもゲイの役でした。

ゲイ同士ながら、相手も自分もその恋を叶えることが難しいと知っていました。

特にそれを強く感じていたのは梅原ではなく、相手。

SNSでやり取りするだけの関係ではなく、せめて顔をあわせて直接話したいと梅原はずっと思いを抱えていました。

偶然が重なり、ようやく相手と会えたシーンで、梅原は満面の笑みを浮かべます。

その笑顔がとても良かった。

嬉しすぎて爆発しそうなのに、どこか切ないんです。

今ヶ瀬は「窮鼠はチーズの夢を見る」の中で、何度もそういう顔で笑います。

そして、笑ったと思えば劣情を抱えきれなくなって激しい面を見せつけてきます。

「逃げ恥」の梅原は大きな声で感情をあらわにすることはあっても、その内容はネガティブなものではなく、相手の背中を押すようなものでした。

今ヶ瀬はそうじゃありません。

でも、頭の中で成田さんが今ヶ瀬として色々な表情を見せ、動いて仕方がないんです。

2019年4月19日公開の映画「愛がなんだ」でも、存在感を発揮しています。

勿論、大伴恭一役・大倉忠義さんにも注目しています。

クランクアップの際には涙涙だったという大倉さん。

原作では今ヶ瀬だけではなく、優柔不断で、これまでは流されに流されて生きてきた大伴も涙を流します。

大倉さんがクランクアップの際に涙を流したことで、私の映画に対する期待度はますます高まりました。

ドクズだけどピュアで、どろどろとカオスな実に人間臭いラブストーリー。

それが「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」だと私は思っています。



「窮鼠はチーズの夢を見る」映画情報

「窮鼠はチーズの夢を見る」公開予定日

2020年予定

「窮鼠はチーズの夢を見る」原作

「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」水城せとな

窮鼠はチーズの夢を見る[ 水城せとな ]

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「窮鼠はチーズの夢を見る」キャスト

2019年4月中旬現在、映画「窮鼠はチーズの夢を見る」のキャストは二名発表されています

大伴恭一:大倉忠義

今ヶ瀬渉:成田凌

「窮鼠はチーズの夢を見る」監督

行定勲

「窮鼠はチーズの夢を見る」脚本

堀泉杏

映画「窮鼠はチーズの夢を見る」公式サイト

……これ、本当にどう映画にするんだ??

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